カムロ(@kamurodayo)です。
今回は”洗脳”にも使われるような心理テクニックを伝授しちゃいます。
かなり汎用的なテクニックで、
- 長期的に自分に依存させたい
- デートの中で相手の従順度を高めたい
あるいはデートへのお誘い、家やホテルへのお誘い、その他交渉術的にも応用が利くテクニックになります。
で、今回の話は表面上のテクニック例も出しながら、本質の部分の話まで掘り下げていきます。
なので、応用を利かせられる内容になるはずです。

では、その心理テクニックとは何かというと…「フット・イン・ザ・ドア」と「イエスセット」です。
恋愛心理テクニック「フット・イン・ザ・ドア」とは?
「フット・イン・ザ・ドア」とは何かというと、心理学では良く出てくる概念で、別名「段階要請法」と呼ばれるもの。
小さな頼みごとを承諾させて、頼みごとの大きさを徐々に大きくしていくことで、本来狙っていた頼み事や大きな頼み事にも承諾させるという手法です。
フットインザドアという名前の通り、訪問営業のセールスマンが

お話だけでも!
と言いながら、足でドアを閉められないようにしている所から始まり、

まあ、話聞くだけなら
と承諾してしまうと、その後、本来の目的であるセールスにも応じやすくなるというもの。
このフットインザドアが効果的であることの土台には、2つの心理現象があります。
フット・イン・ザ・ドアの土台:「一貫性の原理」
一貫性の原理とは、人間は自分の行動や発言、態度、信念などに対して一貫したものとしたい心理が働くというもの。
一貫性の原理が働く理由は2つあるとされています。
1つ目は、選択の機会を減らすため。
人はほとんど”なんとなく”で意思決定をしています。
そもそも人間の脳はめちゃくちゃエネルギーを食うため、一つ一つの意思決定にリソースを割くわけにはいきません。
だから、省エネ稼働にするため、”なんとなく”で意思決定をします。
で、その”なんとなく”に含まれるのが『一貫性の原理』。
例えば、
昼はいつものり弁だから今日ものり弁を買う。
日曜日の18時だからいつも通りちびまる子ちゃんを見る。
お茶を買うときは緑茶を買う。
このように、その時その時で考えて意思決定をするのではなく、ほぼ無意識でいつも通りの選択を行う。
一度習慣化すると無意識のうちに行動がパターン化されて一貫性が生じ、その後もその行動を繰り返すようになるというわけです。
2つ目が、一貫性のある人間だと思いたいし、思われたいからまず、一般的に一貫性のない人は信用されません。
自分でも一貫性がなく、支離滅裂だと気持ち悪さを感じます。
逆に、一貫性のある人は人格的にも知的で優れている、論理的、合理的、安定的、誠実だと評価される。
そういった感覚が無意識のうちに芽生え、一貫性の原理を強めるというわけです。
フット・イン・ザ・ドアの土台:「コミットメント」
コミットメントとは何かというと、確約する、積極的に関わる、責任をもって取り組むといった意味で使われます。
ここで言うコミットメントの具体例を挙げると、身近な例で言えば、

明日ひま?
と聞かれて

ひまだよ
と答えると

じゃあ買い物付き合って
と言われた時に断りづらくなる現象。
最初から「明日買い物付き合って」と言われれば断りやすいけど、「明日ひま?」に対して「ひまだよ」と言ってしまっている手前、断りづらくなるというもの。
「一貫性の原理」×「コミットメント」の例
このコミットメントと一貫性の原理を表す例として、消費者行動の研究家ダニエル・ハワードさんが行った調査があります。
そこでは、テキサス州の住民に

飢餓救援協会のものがクッキーを売りに行っても構わないか?
と電話で尋ねました。そして、クッキーの収益は貧しい人たちの食事の提供に使われる旨も伝えました。
その結果、承諾率は18%。
これが、コミットメントや一貫性の原理を使わない通常の要求の仕方です。
しかし、この要求をする前に簡単なあるコミットメントを取り付けだけで、承諾率が約2倍上昇したんです。
要は、要求を出す以前に

お元気ですか?
という挨拶(質問)をしました。
で、たいていの人(120人中108人)は「元気だよ」「上々だよ」「まあまあだね」と好意的な挨拶を返しました。
この時点で、コミットメントと一貫性の原理が発動し始めます。
あとは、通常通り

クッキー売りに行ってもいいか?
と尋ねた結果、今度は承諾率が32%になったというわけです。
そして、実際に訪問を受けた時には89%の人がクッキーを購入しました。
つまり、最初に自分が元気だと答えた、しかも実際に元気かどうかにかかわらず、お決まりの挨拶として「元気だよ」と答えた。
それによって自分が恵まれた存在であるということにコミットメントが発生し、恵まれない人々への援助の誘いを断りづらくなったというわけです。
洗脳にも使われる心理テクニック
実は、この原理は簡単な承諾を引き出すためにも使えるし、冒頭でも話した通り”洗脳”にも使えます。
実際に、中国が行った捕虜の米兵への洗脳でも使われています。
そこで行われた洗脳は簡単なもので、まずは、米兵に

共産主義にも良い点がある
という簡単なメモを書かせるところから始まりました。
ちなみに、米兵は共産主義は敵だと思っている。
中国はそれを共産主義を信奉(シンポウ)するように洗脳をかけるという構図です。
で、次第に簡単なメモ程度から、しっかりとした文章で書かせたり、それを発表させたりラジオで流したりとコミットメントを強めていきました。
これによって、強い力で強制されたのではなく、『自分の意志で行った』と米兵の脳は認識しやすくなります。
仮に大きな報酬を与えていた場合「報酬のために仕方なく書いた」という認知で終わります。
しかし、「そういった強制がないのに、共産党を信奉する行動を取った」という不都合が生じます。

ここからはご存知『認知的不協和の解消』。
認知的不協和の解消では、行動が先にあって、それを合理化するために認知を捻じ曲げます。
つまり、共産党を信奉する行動が先にあり、それを合理化するために実際に共産党を信奉するようになった。
これによって米兵は収容所内で共産党の協力者に変わったというわけです。
ちなみに、これは洗脳に限らず、”モテるクズ男”も同じ手法を使っていたりします。
例えば小さな頼み事から始まり、わがままやお願い事を承諾させ、コストを積み重ねさせる。
他の男と比べて特別優しいわけでもないし、何か高いものを買ってあげるわけでもない。
世間的に見たらクズ男・ダメ男だ。でも、どんどんハマってしまう。
本質的にはこの洗脳と同じというわけです。
「フット・イン・ザ・ドア」の恋愛での使い方
ここまで見てきた通り、「フットインザドア」の土台には”一貫性の原理”と”コミットメント”という心理効果があり成り立っています。
では、実際に「フットインザドア」はどのように使われているのか?
フットインザドアに関しては、ジョナサン・フリードマンとスコット・フレイザーの実験が有名です。
実験では、カルフォルニアの住宅地を回り、家主に

公共サービスのための看板を設置させてほしい
と頼んで回るものでした。
で、その看板というのが「安全運転をしよう」と大きく下手な字で書かれたものであり、大多数の人は依頼を断り、承諾率はわずか17%でした。
しかし、これにある工夫を付け加えるだけで、承諾率が76%に上がります。
そのある工夫とは、看板設置を頼む2週間前に「安全運転するドライバーになろう」と書かれた小さなシールを玄関先に貼ってほしい。という些細な頼みごとをすることでした。
で、この取るに足らない頼み事に住民のほとんどは承諾しました。
あとは、その2週間後に例のダサい看板を設置させてくれと頼むと、コミットメントと一貫性の原理が働き76%の人が承諾したというわけです。
お気づきの通り、ここまで出てきた
- クッキーを買わせる方法も
- 「明日ひま?」からのお誘いも
- 米兵の洗脳も
- クズ男のハマらせる手法も
このテクニックが使われています。
かなり応用が利く、短期的にも長期的にも使えるわけです。
例えば、デートに誘うときはいきなり「デートしよ」と誘うよりも
それ以前に

休みの日って何してるの?

基本家にいるよ(割と暇してる)
を引き出しておいたり

暇なとき買い物付き合ってよ

いいよ
を引き出しておいたりして誘うなど。
本来通したい要求に繋がる、ほぼ必ずイエスをもらえるようなコミットを仕掛けておくことによって承諾を得る確率を上げることができます。
「フット・イン・ザ・ドア」を応用した恋愛テクニック:イエスセット
この原理を使った承諾率を上げるもう一つの心理テクニックが、イエスセットです。
イエスセットとは、イエスを積み重ねることによってその後もイエスと言いやすい状態になるというもの。
フットインザドア×イエスセットは使い古されているテクニックですが、効果は絶大です。
催眠療法の権威ミルトン・エリクソンも使う催眠技法の1つでもあります。
すると、こちらの決定に対してイエスを言うコミットメントと一貫性が働き、主導権や決定権をこちらが握ることになり、相手の従順度も高まるというわけです。

で、このイエスセットに関してよく言われるのが、3回イエスをもらってから本来の要求を投げよーぜという話です。
例えば、
「もう夏だね」
「イエス」
「ちょっと暑すぎない?」
「イエス」
「涼みたくない?」
「イエス」
「じゃあ服脱ごうか?」
「イエス」
みたいな感じ。
ただ、これは教科書に載っているイエスセットみたいな感じで、定型的過ぎるし不自然さがあります。
もうちょっと自然にやるとしたら
「もう夏だね」
「イエス」
「暑すぎるな」
「イエス」
「ちょっと涼もーぜ」
「イエス」
「脱ぎなよ」
「イエス」
みたいな感じ。
脱がせるのは無理があるかもしれませんが、ポイントとしては誘導尋問感をなくしたところです。

イエスを引き出せばいいんや!イエスセットや!
とイエスを引き出す誘導尋問になると不自然さが出てしまいます。
なので、質問ではなく決定をしてしまって相手に同意させるという方法です。
「フット・イン・ザ・ドア」×「イエスセット」の応用恋愛テクニック
イエスセットを使うときに大事になるのが”逆算”です。
例えば、デートでの目的を『セックス』とします。
この場合、”セックスへのイエス”から逆算して、イエスセットを積み重ねるという方法です。
例えば、カフェに一緒に行くことに対するイエスとキスへのイエス。
前者のイエスだけ引き出せても、セックスのイエスを引き出せる確率は低い。
対して、後者のイエスを引き出せれば、セックスのイエスを引き出せる確率は高い。
なので、まずはレベル1のイエスを引き出せたら次はレベル2のイエスを引き出す。
それをクリアしたらレベル3…というように、段階を上げながらコミットメントを強化させていくことによって、仲良しというゴールも決めやすくなるというわけです。
ざっくり示すと、例えば
- 一緒にお酒を飲むイエス
- 1件目の後も一緒にいるイエス
- 手を繋ぐイエス
- キスをするイエス
- ホテルに入るイエス
- セックスをするイエス
という感じ。ほんとにざっくりですが。
この逆算イエスセットでのレベル上げの良いところは、今の段階を測れることにもあります。
レベル3の要求ではイエスをもらえたけど、レベル4ではもらえなかった。
ということは、現段階ではレベル3の位置にいるのか。
じゃあ、レベル4に上がるために関係構築や従順度上げを行って、もう一回レベル4を仕掛けてみようと判断できます。
で、このレベルをすっ飛ばして拒絶されたり、足踏みしてゴールに近づけなかったりというのが、一般的によくある失敗パターンの1つです。
この目安を持っておくと、そういった失敗も減るかと思います。
もちろん「セックス」という目的に限らず、
というように、ボディタッチのレベルを上げていく、と。
これも、ボディタッチの『OK』の大きさをどんどんフットインザドア的に大きくしていくということ。
このように、直接的な要求ではなくても相手の『OK』な範囲が大きくなっていくのが、フットインザドア×イエスセットの性質でもあります。
まずはレベル1のOKを引き出せたら次はレベル2のOKを引き出す。
それをクリアしたらレベル3…というように、段階を上げながらコミットメントを強化させていくことによって、セックスや付き合うというゴールも決めやすくなるというわけです。

ゴールまでにできるだけ、ハードルを多く高く、超えておく。
これを意識して、要求を飲んでくれる範囲を大きくしておく。
それがゴールに繋がります。
恋愛では「フット・イン・ザ・ドア」と「イエスセット」を使おう
そもそも恋愛では全く脈がない他人の状態から、
- 連絡先交換のイエス
- 軽い食事のイエス
- がっつりデートのイエス
- お付き合いのイエス…
というように、関係の段階やもらう「イエス」の大きさを大きくしていくことが、直接恋愛関係に進んでいくことに繋がります。
要は、恋愛そのものが「フットインザドア」や「イエスセット」のようなものだというわけですね。
そのため、これを使いこなせると、気になる女性と距離を縮めていったり恋愛関係に発展させていったりすることも、スムーズにいきやすくなります。
かなり応用も効くテクニックなので、覚えておいて損はないです。
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